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番外編 ラウンドカラー 補足

ラウンドカラー 補足

前回のラウンドカラー、どこが2段階なのか分からない、という方もいるかと思い、比較が出来る写真を用意してみました。
左が2段階ラウンドで、右が剣先側が丸まっていない、前端のラインのみがラウンドになっているタイプです。
通常のラウンドカラーは、前端から剣先、衿の外周ラインへ向かって均一なラウンドで作られています。
右の衿を見るとお分かりいただけるかと思いますが、衿の剣先が角張っているので、柔らかい印象にはなっていません。
この部分は、ジャケットを着ると隠れる部分なので、今回は思い切って左の写真のように丸くしてみた訳なんですが、結果は成功だったと思います。

番外編 2段階カーブのラウンドカラー

2段階カーブのラウンドカラー

久しぶりの衿型番外編です。
今回は、変形ラウンドカラーとなります。
衿の前中心にある羽部分のスタート地点から、大きなラウンドでスタートし、剣先の部分でコンパクトなラウンドとなっていきます。
正面からの、前中心付近では衿のヒラキが狭く見えるんですが、剣先の位置はかなり広いヒラキの位置となっています。
前部分がカーブしているので、正面からの見た目は割とカチッとしているように見えます。
ジャケットを着てネクタイをしていると、かなり真面目な印象のシャツですが、ネクタイを外してジャケットを脱ぐと、一気に柔らかい印象のラウンドカラーシャツに見えるようになります。
クールビズやウォームビズの影響で、ジャケットやネクタイをしない機会が増えました。
それ用のシャツもたくさん出ましたが、どうしても似たような形が多くなってしまっています。
服装の選択肢が増えた結果、何故か皆、似た格好になっているように感じますので、今までとちょっと違うスタイルの衿、いかがでしょうか。
かわいらしくなり過ぎないのがポイントです。

番外編 白シャツ

番外編 白シャツ

先日、久しぶりに白いシャツを作ったので、展示用のボディに着せ付けて写真を撮っておきました。 今回は、衿がワイドスプレッドとセミワイドの中間位の開き加減になっており、やや太目なネクタイとの相性を考えて衿の剣先までの長さはほぼ標準なのに対して、後ろの高さを高めにしつつ、衿外周りの寸法を短めにすることで、衿全体が気持ち立ち上がったような印象になり、なかなかかっこいい衿になっているんじゃないかと思います。

番外編 クリーニング屋さんへの注文方法

日頃から、クリーニングで苦労されている方は多い様で、よく相談を受けます。
出すクリーニング屋さんが変わると、その差が実感できるんですが、ずっと同じところに出していると、体がそのクリーニングの仕上げで慣れていきます。
当然、個人規模でやっている、腕のいいお店や、特別高い料金の特殊なクリーニング屋さんに出せればいいんですが、前者はほぼ無くなってしまいましたし、後者はシャツで1枚2000円以上だったり、会員制で新規の会員はとっていなかったりと、なかなか難しいです。
なので、今回はチェーン店のクリーニング屋さんに出す際に、伝えて頂きたいことと、その効果、理由をご紹介いたします。
シャツの着方には個人個人の好みがありますので、今回の注文方法はシャツの風合いと耐久性を意識した内容となっています。

まず始めに、クリーニングに出すワイシャツが高級なシャツであることを受け付けの方に伝えてください。
ちょっと恥ずかしいと思いますが、高級品には高級品の印を付けている所は結構あります。
次に、可能であれば、ワイシャツの中でも上位グレードの洗いを指定してください。
ロイヤルや、スペシャルなどといった名前で、料金的にはスタンダードの3倍前後と思いますが、これらのグレードでは、こちらの指定を一つ一つメモして工場へ廻してくれる事が多いですし、手仕上げの指定が出来ると思いますので、安心です。
スタンダードなグレードでのクリーニングは、かなり当たりハズレのブレがあり、工場の中でも誰に当たるかによって、出来が全く変わってきます。
どちらのグレードでも是非言っていただきたい注文が、「糊無し」と「縮み注意」です。
糊なしは、クリーニング屋さんにとっては、面倒であまり良い事無しだと思いますが、シャツにとってはやはり良いです。
前にも書きましたが、糊をかければ、その上に汚れが乗るので綺麗に洗いやすいですし、アイロンの滑りも良く、形にも成形しやすいので、おそらくは黙って出すと糊付きで上がってくると思います。
一方、糊なしでは、糊が生地に入り込み、繊維にダメージを与えたり、中空繊維である綿の風合いを妨げることなく着て頂けます。(糊を使うと、綿が呼吸をすることを阻害します)

縮み注意も、かなり有効です。
スタンダードでなにも指定をしていないと、シンプルに機械プレスでバシューッと仕上げられますが、この高温プレスで衿やカフスは縮んでいきます。
正確には、洗った後で、元の大きさに戻さずに、繊維が詰まった状態のまま高温で成形してしまう、という感じです。
なので、縮み注意を気にしてもらえると、プレス前の引っ張りを少し念入りにしてもらえます。
アイロン前に、ただ引っ張るだけですが、長い目で見るとこれで全然違ってきます。
衿に縮み注意のタグを付ける事も出来ますが、受付で口頭で指定をしないと、工場では全く気にしてもらえません。
なので、あくまで店頭の受付の方に伝えるようにしてください。

クリーニング屋さんごとに、様々なコースや呼び名があることと思いますが、上記のような「高級品」「ハイグレード洗い」「糊なし」「手仕上げ」「縮み注意」は基本的にチェーン店ならどこでもあるものと思います。
高級品や縮み注意は、直ぐにそれと分かる効果はありませんが、ちょっとした一言で、劇的に仕上がりが変わることもありえますので、仕上がりに納得のいっていない方は試してみてはいかがでしょうか。

番外編 シャツのお直しについて

前回に引き続き、シャツの寿命のお話しとなります。

どんなに気を使ってケアをしていても、単純な摩擦や日々の洗濯でシャツは傷んでいきます。
衿の内側や、カフスの先は、特にダメージの出やすい部分ですから、真っ先に着用に耐えない見た目になってしまいます。
そうした場合には、衿やカフスは取り替えてしまう事が出来ます。
前回、シャツの耐用年数は2年と定められている話をしましたが、その2年とは、きちんと作られたシャツを、普通に着ていれば、およそ2年で衿やカフスがダメになってしまう、という意味だと思いますが、それに関しては概ね同意できます。
逆に言えば、2年を待たずにダメになる場合は、お気に入りだからこそ着る頻度が高かったり、デイリーケアに問題がある、生地そのものが耐久性を考えていない、といったことが考えられます。
大体2週間に1回、10着前後で順番に着まわすようなイメージでの2年でしょうから、およそ年に25回、2年で50回位の想定で良いかと思います。
という事は極端な話、毎日同じシャツを着続ければ、2か月かからずに寿命が来ます。
つまり、シャツの寿命に関して意識するべきは着用期間ではなく、着用回数、洗濯回数なのだと思います。
ご自分のシャツが2年保たないからと言って、または5年保つからといって、ダメになるのが早いか遅いかは分かりませんので、お好きなペースでお召しいただき、ヘタリが出てきましたら、お直しの事を選択肢にお入れください。

さて、シャツがダメになったところまでの話はこれ位にしておきまして、今回の本題に入ります。

既にお直しをしていらっしゃる方もおりますが、まだの方に向けてシャツのお直し、まずは中でも衿とカフスの取り換え修理についてのお話しをいたします。
前述のように、ワイシャツ自体は確かに消耗品であり、特に衿とカフスはそのダメージが見た目にもはっきりとわかってしまう場所です。
ですが、衿とカフス以外の場所はどうでしょう?
衿と同じように損耗しているかといいますと、決してそんなことはありません。
車のタイヤが減ったり、フロントガラスに小石が当たったからと言って、車を買い替えるでしょうか?
特に消耗しやすいパーツであるタイヤや、小傷の入ったガラス、つまり、衿やカフスを交換すれば、まだまだ現役で頑張れるはずです。
当然、いつかは本体もダメになるときは来ますが、大抵の場合は、2回から4回の取り換え修理が可能です。
しかも、天然素材である綿繊維は、強く糊をかけたり、激しく乾燥させたりしない限りは、洗えば洗うほどに風合いは良くなっていくので、最初に衿がダメになった時点で処分をしてしまうと、生地の最も美味しいところを味わわずにいる事となってしまいます。
なので、まずは1回、もっと着たければ2回の取り換えをしながら着て頂ければ、それぞれの生地の最も良い風合いを引き出してお召しいただけると思います。

中には、クリーニング屋さんが近所の安いチェーン店しかないので、どんなに言っても縮められてしまうので、通常の倍くらいのペースで縮んではやや大きいサイズに取り替え、を繰り返している方もいます。
縮むからと言って、ネックサイズが明らかに大きいのはみっともないし、クリーニング屋の選択肢もないし、という事での対応としても、お直しが活用されています。
衿やカフスの取り換えに際して、いくつか問題点もあります。
1度くらいは問題がないのですが、複数回の取り換えを、同じ場所で行うと、ボディー側の縫い目の部分が弱くなるので、カフスならば少し袖側を深く縫い込んであげる必要が出てきます。
結果として、袖が3〜5ミリ程短くなるなど、寸法的な変化が必要な場合があります。
他にも、シャツと同じ生地がある場合は、同じ生地での取り替えが出来ますが、既に同じ生地が無くなっている際には、似たような別の生地や、同じランク、同じ織のタイプの白生地を使っての直しとなるため、だんだんとご自身のラインナップにクレリックが多くなっていきます。
多いパターンとしましては、初めは共布で衿とカフスを作り、傷みが出たらクレリックに取り換え修理、それも傷んだら処分といった感じの、1回修理が多いです。
修理が出来るからといって、実際に3回4回と取り替えをする方は、そんなに多くありません。
なぜなら、皆さん大抵は何だかんだで新しいシャツも作りたくなってしまうので、直しばっかりだと新しいシャツを作る機会が無くなってしまいますから。
そういう意味でも、4回とまでは言わないまでも、シャツの風合いのためにも、1度は取り替え修理をしてみて頂きたいと思っております。
取り替えの際には、首周りの大きさや、衿の形など、今までついていたものとは違ったものが付けられますので、まさに生まれ変わった1枚になります。(首回りやカフスの丈など、寸法の調整には限度があります。特に首は、寸法を小さくする方にはあまり幅がありません。)

お直しをやっている店は、恐らくどこでもシャツの寿命は2年ではない、と考えているはずです。
ただ、寿命一杯まで着なければならないなんてルールはありませんので、傷んでしまってもまだ着たい1着があった際には、お直しを考えてみて頂ければ、と思います。

折角なので、次回は、なるべくシャツを長持ちさせるクリーニング屋さんへの注文方法を、何故そうするのかも含めて書こうと思います。

番外編 シャツの寿命について

最近、新規のお客様とお話をしていて、ワイシャツの寿命についてが話題となりました。
新規のお客様以外でも、たまたまそんな話をする機会が続きましたので、ここで改めて簡単にご案内をしておこうかと思います。

結論から言ってしまえば、シャツの寿命は、様々な要因で決まるため、短ければ1年も経たずにダメになりますし、長ければ40年経ってもまだ着ている、なんて事もあります。
つまり、人それぞれ、シャツそれぞれです。
なので、今回はシャツの寿命を左右する要因を挙げ、気に入ったシャツをどうすれば長く着られるかを御案内し、ご自分のシャツの寿命の参考にしていただければ、と思います。

クリーニング屋さんなどで、シャツをダメにされてしまったりした際に、聞いたことがある方もおられるかもしれませんが、ワイシャツの法定耐用年数は2年となっており、それ以上の期間が経っていれば、(あくまで法律上は、)ワイシャツとしての天寿を全うした、と言えなくもありません。
しかし、多くの方にとって、ワイシャツを処分するタイミングは、以下の3つのどれかがほとんどだと思います。
1、衿・カフスの汚れの沈着、擦り切れ
2、衿が縮んで苦しい
3、身頃や袖に、落ちない汚れが付いた、穴や裂けが出来た
3は、イレギュラーで発生するケースがほとんどだと思いますので、今回は触れませんが、1と2に関しては、日々のワイシャツケアによって、シャツの寿命にかなりの差を作ることになります。
なぜ、1や2のようなことが起こるのか、原因から考えて、対策をすれば、シャツの寿命は延びますので、ご参考にしていただければと思います。

まず、衿やカフスの汚れの沈着、擦り切れは、皮膚と各パーツとの摩擦によって、だんだんと酷くなっていきます。
衿やカフスに汚れが付き易いのは、体の最も多く可動する部分とシャツの末端が接する部分であり、更に衿とカフスには芯地が入っているので、端が他の部分よりも硬くなっているため、より強く擦れてしまうのです。
強く、長く擦れているという事は、それだけ生地には多くの汚れが擦り付けられており、単純に皮膚との摩擦で生地がダメージを受けるだけでなく、汗や皮脂による繊維への化学反応によるダメージ、加えてランドリーでの、もっとも汚れている場所への洗剤やブラシによる汚れ落としによって受けるダメージと、特に衿周りは、カフスよりも重点的に様々なダメージを受け続けます。
カフスが同時期にダメになる場合は、ほとんどのケースで腕時計をしている側の擦り切れが原因です。
なので、時計をしていない方のカフスの方が、痛みが遅いことが多いです。
汚れ、擦り切れへの対策としましては、シャツを脱いだら、なるべく早く洗濯をする。
着ているときの事よりも、脱いでからが大切です。
これにより、衿周りに付いた、汗や脂による継続的な繊維へのダメージや、黄ばみなどの変色を落とすための強い溶剤を付けられるダメージなどから衿を守れます。
(汗は、始めは弱酸性ですが、時間が経つとアルカリ性になっていくため、染色に使われている材料によっては、色物シャツの変色の大きな原因となります。特にシルクはタンパク質なので、アルカリに弱いですから、直ぐにランドリーに出してください。) 2度3度と洗濯をせずにシャツを着ると、最初に着た時からランドリーに出すまでの間、衿にはずっとダメージがかかり続けていることになります。
ただ、海外出張などの場合は、ランドリーの質が全く分からないので、敢えて洗わないという事がシャツにとっては良いこともあります。 大抵の場合は、ダメージを受けるとしても、洗いに出してしまうものと思いますが、ハズレのランドリーに当たった場合には、お戻りの際に早めにランドリーし直していただくと良いと思います。
または、出発前にランドリーで衿の内側に厚く糊を掛けてもらっておくと、衿周りの汚れが糊の上に付くので、あとで水洗いすると、糊と共に汚れが落ちやすくなります。
これは、後述の縮みの原因にもなりますので、あまり大っぴらにオススメは出来ませんが、効果的です。

続いて縮みの原因ですが、ほとんどの場合はランドリーの際の機械プレスによる、芯地の縮みによるものと思われます。
元々、一部を除き、生地自体はそんなに大きく伸びも縮みもしませんが(伸縮率3%が基準値となっています)、芯地、特に接着芯は、その特性上、縮めないようにしない限りは縮みます。
接着芯は、芯地と生地を接着剤で張り付ける事で、衿やカフスの表面を常にパリッと美しく見せたり、薄い芯でもある程度の硬さを出せたり、縫製がし易かったりとメリットも沢山あるんですが、一番のデメリットとしては、やはり縮んでしまう事でしょう。
接着芯の接着剤は、高温で溶け、冷めると固まる為、アイロンで熱する度に溶けて固まる、を繰り返します。
その都度、少しずつ周りの繊維を引きこんでいくので、芯地の目詰りを起こし、結果として縮んでいきます。
対策は簡単で、アイロンで熱しているときに、引っ張ってあげる事。
つまり、縮むタイミングで伸ばしてあげるだけです。
ですが、これが意外と出来ません。
ご自宅で洗って、アイロンをかけている方にとっては、何と言う事もない事なんですが、クリーニング屋さんに何も言わずに出していると、やってくれないところが結構あります。
なので、首回りがきつくなりやすい方は、クリーニング屋さんに出す時に、「衿とカフス、縮み注意で」や、「衿とカフスは引っ張ってアイロン」などと一言添えていただくと、かなり違ってくるでしょう。
現在は、昔と比べて、いわゆる町のクリーニング屋さんというものが相当減ってしまったので、チェーン店のクリーニング屋さんを使っている方も多いと思います。
以前のように、直接作業をする人間の顔が見えないからこそ、作業をする人に伝わるように、一言添えてあげるのが、何よりの対策になるものと思います。

ワイシャツを、着たらなるべく早く自宅で洗い、よく伸ばしながらアイロンをかける。
これだけで、洗わずに何度か着て、クリーニング屋さんに何も指定せずに出すのの何倍も長持ちします。

次回は、それでも傷みが出てきてからのお話しをさせて頂こうと思っております。

番外編 アルモの生地について ’15 3月追記

番外編 アルモの生地について ’15 3月追記

以前から、高品質な生地のメーカーとして取り上げていました、スイスの生地メーカー、アルモですが、昨今のスイスフランの急騰の影響で、しばらくは入荷が出来ない状況となりました。(スイスフランが以前と同じ位まで落ちても、直ぐに再開は難しいと思われます。)
そんな中でも特に影響が出るのが、170番手の白ブロードと、夏物のボイルです。
今年の夏は、去年の内に仕入をしてある生地が無くなり次第、アルモのボイルに関しては品切れとなります。
白のブロードも、今は反物で在庫がありますが、この反物が無くなり次第品切れとなります。
アルモの200番手、170番手、120番手全般に同じことが言えますので、アルモが好きな方、特にアルモの海島綿120番手が好きな方は、在庫のあるうちにご連絡、ご注文をお願いいたします。

2015年3月 追記
スイスフランの暴騰は落ち着きましたが、生地の問屋さんが負ったダメージは決して小さくなく、全く入荷がないという事にはなりませんでしたが、やはりしばらくはアルモの生地の品切、品薄、高騰の状況が続くそうです。
白170番手に関しては、当社の在庫分でしばらくは対応出来ますが、ボイルは種類が少なく、かなりの値上げとなるため、去年までの持ち越し分と、早めに押さえておいた分にて対応となるため、あまり奥行には期待できません。(アルモ以外のボイルや、カラミ織にて対応していきますので、夏物がないという事にはなりません。)
海島綿等は全く無理のようです。
ですが、当初の最悪の想定よりは大分良い推移でもあり、今後一切アルモが無くなるような事にはならなそうですので、一安心です。
来年頃にはもとに近い内容に戻る事を期待していますが、今現在はまだ何ともいえない状況となっております。

番外編 ギンガムチェックシャツ

番外編 ギンガムチェックシャツ

こちらは、トーマスメイソンの黒いギンガムチェックで作ったシャツです。
ネクタイ用にワイドスプレッドで作りました。
黒という強い色で、ギンガムチェックという柄なので、普段はカジュアル用に使われがちですが、ネクタイ用にするのもよく合います。
シャツの色、柄が強いので、シャツをメインにコーディネイトをするスタイルになります。
ビジネス用の組み合わせとしては、ミディアムグレーの無地のスーツに、写真のような赤系のタイ(明るさはスーツの明るさに合わせるといいと思います)で、革物は黒、辺りで良いと思います。
ライトグレーのスーツで、より一層シャツを際立たせようというのであれば、タイの色も明るめにして、Vゾーンのインパクトを増しつつ、革物を茶系にしておけば、全体を少し軽い印象に出来ると思います。
シャツ、スーツ、タイ、靴など、全てを一度に着る事になりますので、その姿は相手には、全てをまとめて1つのファッションとして見られます。
個別のアイテムとして決めるのではなく、トータルバランスで選ぶ事が重要です。
そのトータルの中で、今日の主役を定めて、組み上げていくのが良いでしょう。
今回の写真で言えば、ビジネス用のファッションとして、黒の大きめのギンガムは、脇役に収まりきるタイプではないので、抑え目な組み合わせで脇を固めて、主役として力を発揮してもらいましょう。

シンプルなスーツの引き立て役として、あえてシャツやタイを目立ち役にも出来ますし、まずは今日の主役、ポイントを決めてみてはいかがでしょうか?

番外編 新しいシャツ

番外編 新しいシャツ

若干、間が開いてしまいました。
申し訳御座いません。
今回は、いつもの生地の紹介ではなく、番外編として、シャツの紹介をしたいと思います。
(生地のネタが尽きたわけではありません。まだまだ生地紹介は続きますので。)

このシャツは、この夏の私用の1枚なんですが、出来上がってきたのを見て、なかなか良い感じだったので(特に衿周りが)、ちょっと番外編でもさせていただこうかな、と。
生地は以前ここでも紹介したアルモのボイル地で、涼しげなブルーのストライプです。
形は、ワイドスプレッドの衿に大きいラウンドのシングルカフス。
ダブルカフスも考えたんですが、夏場のダブルは暑いので敬遠してしまいました。
夏生地ですから、ダブルでもそんなに暑くないんですけれど、せっかくさわやかな色合いのシャツなので、今回はさっぱりと。
あとはニットタイでもあれば、グッと夏の装いになりますね。
クール・ビズでも、単純にネクタイをしないだけではなく、ネクタイをしていても、見目に涼しい、そこを目指してみました。
アフター5(最近はあまり聞きませんね)に着崩す事を前提で生地や形を決めるのも面白いかもしれません。
フォーマルすぎず、ラフになりすぎず。
仕事の時にはビシッとネクタイを締めて、仕事が終わった後で人に会う時にはニットタイに締め変える。
オンとオフに差をつけたい時にはこういう1枚もいかがでしょうか?

番外編 冬のカジュアルシャツ

番外編 冬のカジュアルシャツ

久しぶりの番外編です。
今回は、私のシャツではないんですが、お任せで注文を頂いた冬のカジュアルシャツの出来が良かったので、載せてみました。

仕様としては、
衿・セミワイドのボタンダウン、9センチ×5センチ
衿台前高めにして2ツボタン
カフス・ボタン留め7.5センチ幅で大きなラウンド
2ツあるポケットは、生地をバイアスでとって、フタ付きボタン留め
見えませんが、ヨークはカウボーイシャツ風に丸みをつけてあります
ボタンは黒蝶貝使用で、ボタン穴とボタンの付け糸は赤糸を使ってます
厚地でカジュアル用ということで、普段よりも少しゆとりを多めに入れてあります

綿起毛の生地で作ろうにも、どういったシャツにしたら良いのか解らない、という方の参考にしていただけたら、と思います。

番外編 ボタンダウン衿

番外編 ボタンダウン衿

今回の写真は、社員のシャツの衿です。
なかなか具合がいいので、ちょっと載せてみました。
出来上がってから、何度か洗うまでは、実際の風合いが分からないので、じっくりと洗ってもらって、今回はカジュアル用に糊なしの自分アイロンで、少し柔らかな雰囲気になっているそうです。
ウチの普通のボタンダウンとの違いは、
長さ、高さ、共に標準より大分大きい
衿の開きが広めにしてある
衿山の開きを通常の倍以上とっている
併せて、前も高いので、2ツ釦にしている(上の釦穴部分は、奥に少し台衿を持ち出している)
といったところでしょうか。
今回はノーネクタイですが、ネクタイをした時の収まり具合もなかなかです。
衿山の開きが広いので、大きいノットとの相性が良いからだと思います。
お気に召して頂ければ幸いです。
参考までに、ですが、生地はアルモの100/2です。

番外編 2枚衿

番外編 2枚衿

たまにはこんなシャツも作ります、ということで、2枚衿のシャツです。
仕様としては、衿が2枚重ねになっていて、前立て下に別生地でラインを入れてます。
衿台も高くして2ッ釦に。
上衿は前8.5センチ×後5.5センチです。
釦ホールは普通に白糸でかがってますが、釦の付け糸と衿、カフスのステッチは色糸を使っています。
生地はトーマスのゴールドラインの白ヘリンボーンです。
どちらかといえば、ウチはフォーマルっぽいシャツ、年配の方のシャツのイメージが強いのではないかと思いますが、オーダー屋ですから、こういったモノも作ります。
見本持ち込みや、イメージをカタチに、と、シャツの楽しみの幅は広がります。

番外編

番外編

今回の番外編は、半袖の特注デザインシャツです。 形自体は特別ではないんですが、生地柄の特徴を踏まえ、派手過ぎず、でも分かりやすくカジュアルに、とのご注文を頂きましたので、こんな感じで作ってみました。
衿先の半インチを白生地で切り替え、前立、袖先、ポケット口、ヨークといった折り返しのある縫い目にも、白を挟む一工夫を。
釦は黒蝶貝を使い、釦穴と留め糸には白糸を使用。
見た目よりも手間の掛かった仕様です。
パイピングに近いですが、ちょっと違うんです。
ごく短い、はさみ付け、という感じですね。
ただ、外側から見ても、内側から見ても、分からない手間なんですけども。
縫い目を増やさずに、均一に白の部分を出すのって、結構大変なようです。
職人の頑張りが光る1着です。
ですから、写真もいつもより大きめに!

時期や混雑具合によっては、完成までかなり時間を頂く事になりますので、ご注文の際は、どうかご理解くださいませ。
今回は1ヵ月半かかりました。。。

番外編 芯地のお話 その1

番外編 芯地のお話 その1

早速ですが、芯地のお話を少ししてみようかと思います。
芯地は、ご存知の通り、殆どのシャツの衿とカフスに入っていて、目的としましては、表地に張りをもたせる、型崩れを防ぐ、体型をカバーしてシルエットを美しく形作る、といったところでしょうか。

大きく別けて2種類があり、のりつき(接着)、のりなし(非接着、フラシ芯と呼んだりもします)となります。
それぞれの特徴としましては、まさに読んで字のごとく、表地に接着剤で貼り付くのが接着芯、着けずにあるのが非接着芯です。
接着芯は、表地に貼り付けることで、常に表地をシワがなく、張りのある状態に保つ事が出来ます。
見栄えが良く、最近の既製シャツの殆どはこちらの芯を使っていると思います。
生地と芯が張り付いているので、あまりに硬い芯を選ばない限り、縫製が簡単であることも、その一因ではないでしょうか。
短所としては、とにかく「縮み」、この一言で、あらかた片付きます。
ランドリーに出した後で、衿やカフスを裏返した時に、裏だけがシワシワになっていたら、それが縮んだ分です。
(縮む原因まで書きだすと、収まらないと思いますので、今回は先延ばしにしておきます。)
あとは、接着剤の染み出し、といったところでしょうか。
接着芯を使った衿を、何度か洗っていくと、ポツポツと小さな水玉のようなシミが見えてきます。
ソレが、接着剤が表地に染み出してきた状態です。
接着芯、乾燥機、仕上げ糊、機械プレス、と揃うと、下手をすれば一度に2センチくらい縮みます。
お気をつけ下さい。
(接着芯でも、きちんとしたケアをすれば、のりなし芯と同じくらい長持ちしますし、縮ませずに着れます。)

フラシ芯は、表地に着けない事で、柔らかさを出す事が出来ます。
自分でアイロンを掛けたりすると、表地を綺麗に仕上げるには、接着芯よりも少し苦労します。
引っ張りながらアイロンをかけてあげればいいので、その力加減が分かってしまえば簡単ですが。
慣れていないと、ステッチのところに表地がたまってシワになってしまいます。
長所としては、外的要因(接着剤)無しなので、表地と自然な馴染み方をする、縮みにくい、柔らかい、といったところでしょうか。
短所としては、前述の通り、シワになりやすい、上手にアイロンがけをしないとヨレヨレに見える、などです。

どちらも、長所ゆえの短所であり、同じく短所ゆえの長所なので、一概にどちらが優れている、とは言えません。

ウチのシャツは、のりなし芯が基本で、衿やカフスに張りが欲しい方、ご注文を伺っている際に、接着芯を使った方がイメージに近づけると思った方、とにかく硬い衿、といった方などには、接着芯のご案内をさせていただいています。

芯地の厚さ、硬さの種類までは、スペースの都合上、書ききれませんでしたので、その辺はまた次の機会にさせていただきます。

芯地は、当然ここに書かれていることが全てではないので、皆様も是非、ご自分好みの衿カフスの芯を見つけ出してみて下さい。

(写真は、上がのりなし、下が接着です。

表面が少し光っているのが分かるかと思うんですが、それが接着剤です。)

番外編 芯地のお話 その2

前回書ききれなかった、芯地の話の続きです。
芯地の厚みについてですが、ウチでは大まかに分けて5種類(ソフト、セミソフト、並、セミハード、ハード)×2パターン(糊なし、接着)があります。(この分け方は、独自のものなので、他の会社ではまた違う呼び方をしてたりします。)

それらがそれぞれ、衿とカフスに入っています。
あくまで『大まかに分けて』なので、実際には何十種類もあるのですが、あまり沢山あっても選びきれませんので、もっともよく使われるものから5種類に絞ってます。
大抵は同じ芯を使いますが、好みや用途によっては、衿とカフス、別々のものを使うこともあります。
例えば、少し硬めのダブルカフスを選んだ場合、衿をセミハード芯、カフスは二重になるので、並芯を使う、などという事もあります。

衿は硬くバチッと見栄え重視、カフスはデスクワークが多いので柔らかく、という場合は、衿がハードでカフスはセミソフト、なんて極端なのもアリといえばアリ、です。
色々な所のボタンダウンのシャツなどでは、衿が接着のセミソフト芯、カフスは糊なしのセミソフト芯、というパターンが使われていたりします。
芯地の硬さ、風合い等は、個人によって感じ方が大分違ってきます。
今まで柔らかいのを着ていた方にしてみれば、並芯でも十分に硬かったりします。
なので、芯地にまでこだわる方は、まず一度自分のイメージに近い名前の芯をお試しいただき、それよりもう少し硬く、柔らかく、といっていただけると、理想のものに近付きやすいと思います。
何度かお洗濯をするまでは、芯地本来の風合いが出て来ませんので、その辺も様子を見なければいけなかったり、結構難しいんですが。
ちなみに、芯地はパズルみたいなもので、組み合わせ次第でかなりの種類になります。(気分的には無限です。)
ハード芯よりも、もう少し硬く、という時には、セミハード芯にセミソフト芯を重ねて(抱かせる、なんていいます)、硬さを調節したりも出来ます。
よくある使い方としては、上衿の先の方にだけ硬い芯を足して(補強芯、ヒューズ芯などと呼ばれます)、後ろはそんなに硬くないけど、前はバチッとさせてみたり。

ただ、あんまりこだわりすぎるとドツボにはまってしまいますので、あんまり基本から外れすぎると戻ってくるのが大変です。(その都度取り換えなければならないので。3~4回取り合えれば、シャツが1着作れちゃいます。)
数多くの中から、基本の5種類が生き残ったのには、それなりの訳がある、という事ですね。
衿がハード接着芯(基本の中では最も硬い)で、カフスが糊なしソフト芯(逆に、最も柔らかい)なんて、ピーキーな設定をする方なんて、まずいないのですが(する理由があんまりないからだと思います)、芯地の設定は、シャツにこだわる方を、より深く満足させる、また、新たなこだわりを生み出す材料になるのではないでしょうか?
言われてみれば、衿だけもう少し硬ければなぁ、なんて思った方は、次回お作りになる際には、ちょっとこだわってみませんか?

不定期連載・シャツの世界(生地編)

ワイシャツのオーダーの醍醐味の一つが生地選びだと思います。
ここでは、世界中の様々な生地を、ポピュラーなものからレアなものまで紹介していきたいと思います。
不定期ではありますが、シャツ作りをより一層楽しむための手助けになりましたなら幸いです。
文中に登場する言葉は、シャツ業界で使われている表現(アパレル全般とは大分違います)なので、本来の意味と少しずれていたり、大雑把な枠組みになっていたりします。
違和感を感じる方もいらっしゃると思いますが(私もそうでしたので)、通称や通り名だと思ってください。
全てのシャツ屋が共通の用語を使っているわけではないと思いますが、大抵のお店で通用するのではないか、と思われます。
あくまで私見ですので、ご了承下さいませ。

基本的には当社で手に入る→お作り頂けるもの中心でお伝えしていきますので、目に付いたものが御座いましたら、在庫確認のご一報をお願いいたします。
人気のある生地の場合、早々に在庫切れになる事もございますので、その際はご了承下さいませ。

番外編

久しぶりに番外編でのシャツ紹介です。
今回は、アルビニの黒紋で作りました。
しばらくはオークラ店のディスプレイ用として飾ってありますので、お立ち寄りの際にはちょっと眺めていってください。
形としては、ちょっとハイカラーのワイド・スプレッドで、衿台が高めになっているので2ツ釦にしてあります。
着せ付けてあるボディが、凄い胸筋なのに首が細いという、ちょっと変った体形の持ち主なので、首寸法が余ってますが。。。
(写真では見えないですが、ウエストはくびれていて、そこも寸法が余っちゃってます)
春らしい生地の紹介が続くので、逆をついてみました。

番外編 市松シャツ

番外編 市松シャツ

先日予告していたシャツが出来上がったので、紹介させていただきます。
最近はワイドスプレッドで作る事が多かったので、今回はボタンダウンにしてみました。
思っていた通り、生地段階よりも少し大人しい印象になってますが、色が色なので、それなりに派手な感じです。
出来上がりをそのまま展示してしまっているので、衿が硬く、ボタンダウンらしい柔らかなロールが出ていません。
暫くディスプレイ用として使ってから、洗いにかけて着ようと思います。
一月くらいはオークラ店に飾っておこうと思っているので、お近くにいらっしゃる際には、是非お立ち寄り、ご覧下さい。

番外編 衿のボタンは何個?

番外編 衿のボタンは何個?

衿台には、大抵はボタンが1つ付いてます。
当然といえば当然なんですが、前が開くシャツの構造上、衿を前で閉じる為の留め具としてです。
ハイカラーのシャツが流行りだしてから、そのボタンの数が1つではなく、2つや3つというものが出てきました。
3つまでいくと、完全にデザインシャツだと思いますが、デザイン先行で、2つボタン(ドゥエ・ボットーニ)にするという事もあります。
注文の際に、「衿のボタンが2つのが良い」という感じで。

今回、採り上げたいのは、その衿のボタンについてです。
ウチでは通常、身頃と袖口には11.5ミリ、衿台と剣ボロには10ミリ、ボタンダウンの上衿剣先には9ミリのボタンが使われています。
つまり、衿台は直径1センチの円で押さえられる事で、一つの円形になっているわけです。
衿の後の高さが4.2センチ位のとき、衿台の前の高さは3センチ前後なので、衿台の真ん中にボタンが付くと、ボタンの上下におよそ1センチずつの押さえがない、ただ重なっているだけの部分が出来ます。
これ位だと、相当柔らかい芯地の台衿、または硬い芯地を入れた上衿か、ネックが縮んできつくなったシャツでもない限りは平気なんですが、前が4センチに近い高さになってくると、衿のボタンからの距離が長くなってしまう為、衿山(上衿の前の付け合わせ部分・ネクタイが収まる辺りです)の部分が耐えられず、外に向かってめくれてくる、折れてくる、といった現象が起きます。(体形や芯地と生地の組み合わせによって、起きない事もありますが、なりやすくなります)
ここで、2つボタンの登場です。
写真のように、ボタンが2つ付いていれば、より上の方で台衿を押さえられるので、外側に折れてくることはありません。
その際、上側の(ボタン穴がある方の)台衿を、少し斜めに奥側に持ち出してあげることで、より奥かつ上に押さえる力が掛かり、しっかりと固定してくれます。
衿台の前の高さが5センチ位ならば、3つボタンですね。
ドレスシャツで考えれば、そんなに長い首の方はまずいないですし、そんな巨大なネクタイのノットを作る事もないと思いますので、やはりデザインシャツでの仕様かな、と思われます。

ブームが落ち着いて、以前ほどのハイカラー需要はなくなりましたが、大き目の衿は多いです。
2つボタンのほうがデザインとしてではなく、機能として合っている場合もありますので、衿山が折れてしまうという場合には、2つボタンにしてみるのもいいかもしれません。

(写真の衿は、ワイドスプレッドの上衿8.2センチ×4.7センチで、衿台の前の高さは3.8センチという内容です。)

番外編 トーマス・メイソン ビスポーク その1

番外編 トーマス・メイソン ビスポーク その1

ちょっと前に入ってきました、トーマスのビスポークサービスのサンプルブックを紹介しようかと思います。
トーマスが、以前やっていた小口サービスを完全廃止(元々、公に使われていたシステムではなかったんですが)して、今後はこの方法で、と言って来たのが、このビスポークシステムです。
ミニマムの発注単位が小さいので、欲しいと思った生地の注文が、1着から出来て、しかもちゃんとトーマス側が作ったシステムなので出荷までが早く、生地の到着までが大体1週間というのが魅力です。
その分、1着だけで頼むと、関税、送料がダイレクトに1着のみに掛かってしまうんですが。
なので、単品で頼むと店頭にある同じクオリティーのトーマスの生地に比べて、結構割高になってしまいます。
当然、2着3着と同時に選ぶ事によって、1着あたりの負担は少なくなります。

内容に関しては、その2で触れていきます。

トーマス・メイソン ビスポーク その2

トーマス・メイソン ビスポーク その2

サンプルブックは、アンダーソンが1冊と、トーマスが7冊の計8冊で、アンダーソンはウチで多く扱っている200番手だけでなく、300番手(載ってはいますが、ウチではまだ検証中の為、販売はしていません)や、海島綿、リネンといったものも入っています。

トーマスの7冊は、140番手のゴールドラインまでが入っています。
色、柄、織、番手もそれぞれ、いろんな生地が入っているので、なかなか見ごたえはあると思います。

どちらのサンプルも、基本的には定番系のものが中心なので、奇抜な色や柄はあまりありません。

結構立派な箱に入ったブックセットです。

トーマス・メイソン ビスポーク その3

トーマス・メイソン ビスポーク その3

ちなみに、注文をすると、こんな感じで入荷されます。
生地と、ギャランティーカード的なメッセージカード、ビスポーク専用のブランドタグがセットになっています。
他に、脇の割れに付ける補強用のピース布も専用の物があるんですが、ウチのピースの形とは違うのと、素材が固すぎてチクチクしそうなので使っていません。

ウチでは、店頭にある生地で気に入ったものがなかった場合や、以前作ったもので、同じものが欲しいが店頭に生地がもうない、などといった場合に見ていただいています。

番外編 プリートシャツ

番外編 プリートシャツ

私事で恐縮ですが、先日、友人の結婚式がありまして、その際に仕立てたシャツです。
今の日本での結婚式では、殆どの場合、黒いスーツに白いシャツ、シルバータイといった組み合わせになると思います。
目立ちに行く場ではないので、あくまで定型を守りつつ、祝いの席に合わせた彩りを、ということで、ワイシャツの前身ごろにやや太いヒダを左右3本ずついれてみました。
上着を着てネクタイをすると、僅かに見える程度なんですが、ドレス感もアップするんじゃないかと。
プリート以外に、ピンタックという選択も良いですね。
ピンタックの方が細いので、より上品になります。

番外編 アルモボイルシャツ

番外編 アルモボイルシャツ

2012年の夏に入荷した生地で作ったシャツです。
真夏でも長袖で過ごすので、夏生地は必須素材です。
このシャツは、今季入荷のアルモのボイルで、衿の開きのやや狭い、非常にオーソドックスなボタンダウンシャツになっています。
ネクタイをしないことが多いと予想して、衿元が綺麗になるようにと、前立に薄い芯地をいれて、保形力を高めています。
併せて、衿もカフも柔らかい芯地をチョイスして、着た感じが重くならないようにしています。
衿の開きが狭目な事と、衿のロールを少な目にした事で、全体として衿が立っている印象になっていると思います。

番外編 グランディ&ルビネッリシャツ

番外編 グランディ&ルビネッリシャツ

もう一つ番外編として、今季の夏物です。
こちらは前回と違って、素材が綿麻となっております。
今季は、クールビズ対応も進み、リネンや綿麻で作る方も多くおりました。
綿ボイルや麻100%のものに比べると、綿麻のほうが少し暑いので、個人的には機能性を考慮すると、半夏物的な位置において考えているんですが、麻には出せない綿素材の柔らかさと、綿には無い麻素材の夏っぽさが両立しているとも考えられます。
こちらの衿は、やや広めのセミワイドのボタンダウンで、ロールも強めに入れてあります。
何年か前に流行った、イタリア系の大きい衿のボタンダウンに近い感じですが、衿自体はそこまで大きくしていません。
衿台の高さも、ボタン1つで事足りる高さです。
分かりやすいカジュアルさを出すために、黒蝶貝のボタンを使ってあります。
夏場は、皆が薄着になるので、カジュアルシャツもデザイン等を詰め込みすぎるとクドくなりやすいです。
アッサリめ、サッパリめをオススメします。

番外編 国産 100/2 ハケメシャツ

番外編 国産 100/2 ハケメシャツ

番外編が続いていますが、今回もまたシャツの紹介です。
今回は、外国のビジネスマンが着ていそうなシャツというテーマで作ったんですが、私の中にあるイメージの一つがこのシャツです。
濃い目のブルーの無地系の生地で、ワイドスプレッドのややコンパクト目な衿、前立が表についていて、角のスクエアになっているWカフス。
ほかにも、いかにもな組み合わせは幾つかあるので、そういったものも作った際には載せていきます。
イメージを形にしていくのは、オーダーメイドの楽しみの一つですね。

番外編 ダンガリーシャツ

番外編 ダンガリーシャツ

ご要望の多かったダンガリーを使って、ネクタイをする形でのカジュアル用に仕立てました。
ダンガリーなどの素材の持つカジュアル感を抑えて、スッキリとして見えるように、加えて、ジャケットを着ることを前提として、一工夫してあります。
ネクタイが合い易いように、あまり大きい衿にはせず、ジャケットの中でかさ張らないようにアームホールはやや小さめになっています。(ダンガリーは通常の生地よりは厚めで固めなのと、春夏のジャケットは、冬物のジャケットよりも中のゆとりが少ないことが多いので。)
ただ、この仕様はあくまで一例なので、お客様の着方や好みに合わせての仕立も当然可能です。
カジュアルに特化した、丈の短いシャツや、ウエスタンヨークのカウボーイシャツなど、選択の幅は広い一枚です。

番外編 リネン プルオーバーシャツ

番外編 リネン プルオーバーシャツ

今回は、アンダーソンのリネンを使ったプルオーバーシャツになります。
プルオーバーシャツは、構造上普通のシャツとは違っています。
身頃の前が総開きではなく、途中までしか開いていない事。
つまりは、ポロシャツの造りと同じです。
ワイシャツとポロシャツの間、といったところでしょうか。
その構造によって、寸法も通常のワイシャツのものとは違ってきます。
ポロシャツと違って、生地そのものに伸縮性がありませんので、裾とウエストに、上半身が通過できる幅が必要となります。
大抵の場合、シャツはウエストが一番細くなっているのですが、ウエストにも肩幅+体の厚み分+ゆとりが必要です。
結果として、ワイシャツ寸法よりもウエストのゆとりが多くなり、ゆるみの多いカジュアルな雰囲気が多くなります。
バスト・ウエストの差が少なければ、通常のシャツとそこまで大きく変える事もないのですが、普段細身のシャツを作っている場合には、かなりの差になると思います。
とはいえ、プルオーバーシャツ自体が、元来ゆったり目に着られる事が多いので、バストやヒップにも、いつもより少しゆとりを多く入れますから、ウエストだけがダボダボに見える事はありませんので、ご安心下さい。
今回のシャツは、真っ白なリネンに黒蝶貝の釦を使い、その釦を白い糸で付ける事で、少しだけコントラストを効かせてあります。
初夏に向けての爽やかな一枚です。

番外編 白シャツ

番外編 白シャツ

先日、久しぶりに白いシャツを作ったので、展示用のボディに着せ付けて写真を撮っておきました。 今回は、衿がワイドスプレッドとセミワイドの中間位の開き加減になっており、やや太目なネクタイとの相性を考えて衿の剣先までの長さはほぼ標準なのに対して、後ろの高さを高めにしつつ、衿外周りの寸法を短めにすることで、衿全体が気持ち立ち上がったような印象になり、なかなかかっこいい衿になっているんじゃないかと思います。

番外編 クリーニング屋さんへの注文方法

日頃から、クリーニングで苦労されている方は多い様で、よく相談を受けます。
出すクリーニング屋さんが変わると、その差が実感できるんですが、ずっと同じところに出していると、体がそのクリーニングの仕上げで慣れていきます。
当然、個人規模でやっている、腕のいいお店や、特別高い料金の特殊なクリーニング屋さんに出せればいいんですが、前者はほぼ無くなってしまいましたし、後者はシャツで1枚2000円以上だったり、会員制で新規の会員はとっていなかったりと、なかなか難しいです。
なので、今回はチェーン店のクリーニング屋さんに出す際に、伝えて頂きたいことと、その効果、理由をご紹介いたします。
シャツの着方には個人個人の好みがありますので、今回の注文方法はシャツの風合いと耐久性を意識した内容となっています。

まず始めに、クリーニングに出すワイシャツが高級なシャツであることを受け付けの方に伝えてください。
ちょっと恥ずかしいと思いますが、高級品には高級品の印を付けている所は結構あります。
次に、可能であれば、ワイシャツの中でも上位グレードの洗いを指定してください。
ロイヤルや、スペシャルなどといった名前で、料金的にはスタンダードの3倍前後と思いますが、これらのグレードでは、こちらの指定を一つ一つメモして工場へ廻してくれる事が多いですし、手仕上げの指定が出来ると思いますので、安心です。
スタンダードなグレードでのクリーニングは、かなり当たりハズレのブレがあり、工場の中でも誰に当たるかによって、出来が全く変わってきます。
どちらのグレードでも是非言っていただきたい注文が、「糊無し」と「縮み注意」です。
糊なしは、クリーニング屋さんにとっては、面倒であまり良い事無しだと思いますが、シャツにとってはやはり良いです。
前にも書きましたが、糊をかければ、その上に汚れが乗るので綺麗に洗いやすいですし、アイロンの滑りも良く、形にも成形しやすいので、おそらくは黙って出すと糊付きで上がってくると思います。
一方、糊なしでは、糊が生地に入り込み、繊維にダメージを与えたり、中空繊維である綿の風合いを妨げることなく着て頂けます。(糊を使うと、綿が呼吸をすることを阻害します)

縮み注意も、かなり有効です。
スタンダードでなにも指定をしていないと、シンプルに機械プレスでバシューッと仕上げられますが、この高温プレスで衿やカフスは縮んでいきます。
正確には、洗った後で、元の大きさに戻さずに、繊維が詰まった状態のまま高温で成形してしまう、という感じです。
なので、縮み注意を気にしてもらえると、プレス前の引っ張りを少し念入りにしてもらえます。
アイロン前に、ただ引っ張るだけですが、長い目で見るとこれで全然違ってきます。
衿に縮み注意のタグを付ける事も出来ますが、受付で口頭で指定をしないと、工場では全く気にしてもらえません。
なので、あくまで店頭の受付の方に伝えるようにしてください。

クリーニング屋さんごとに、様々なコースや呼び名があることと思いますが、上記のような「高級品」「ハイグレード洗い」「糊なし」「手仕上げ」「縮み注意」は基本的にチェーン店ならどこでもあるものと思います。
高級品や縮み注意は、直ぐにそれと分かる効果はありませんが、ちょっとした一言で、劇的に仕上がりが変わることもありえますので、仕上がりに納得のいっていない方は試してみてはいかがでしょうか。

番外編 シャツのお直しについて

前回に引き続き、シャツの寿命のお話しとなります。

どんなに気を使ってケアをしていても、単純な摩擦や日々の洗濯でシャツは傷んでいきます。
衿の内側や、カフスの先は、特にダメージの出やすい部分ですから、真っ先に着用に耐えない見た目になってしまいます。
そうした場合には、衿やカフスは取り替えてしまう事が出来ます。
前回、シャツの耐用年数は2年と定められている話をしましたが、その2年とは、きちんと作られたシャツを、普通に着ていれば、およそ2年で衿やカフスがダメになってしまう、という意味だと思いますが、それに関しては概ね同意できます。
逆に言えば、2年を待たずにダメになる場合は、お気に入りだからこそ着る頻度が高かったり、デイリーケアに問題がある、生地そのものが耐久性を考えていない、といったことが考えられます。
大体2週間に1回、10着前後で順番に着まわすようなイメージでの2年でしょうから、およそ年に25回、2年で50回位の想定で良いかと思います。
という事は極端な話、毎日同じシャツを着続ければ、2か月かからずに寿命が来ます。
つまり、シャツの寿命に関して意識するべきは着用期間ではなく、着用回数、洗濯回数なのだと思います。
ご自分のシャツが2年保たないからと言って、または5年保つからといって、ダメになるのが早いか遅いかは分かりませんので、お好きなペースでお召しいただき、ヘタリが出てきましたら、お直しの事を選択肢にお入れください。

さて、シャツがダメになったところまでの話はこれ位にしておきまして、今回の本題に入ります。

既にお直しをしていらっしゃる方もおりますが、まだの方に向けてシャツのお直し、まずは中でも衿とカフスの取り換え修理についてのお話しをいたします。
前述のように、ワイシャツ自体は確かに消耗品であり、特に衿とカフスはそのダメージが見た目にもはっきりとわかってしまう場所です。
ですが、衿とカフス以外の場所はどうでしょう?
衿と同じように損耗しているかといいますと、決してそんなことはありません。
車のタイヤが減ったり、フロントガラスに小石が当たったからと言って、車を買い替えるでしょうか?
特に消耗しやすいパーツであるタイヤや、小傷の入ったガラス、つまり、衿やカフスを交換すれば、まだまだ現役で頑張れるはずです。
当然、いつかは本体もダメになるときは来ますが、大抵の場合は、2回から4回の取り換え修理が可能です。
しかも、天然素材である綿繊維は、強く糊をかけたり、激しく乾燥させたりしない限りは、洗えば洗うほどに風合いは良くなっていくので、最初に衿がダメになった時点で処分をしてしまうと、生地の最も美味しいところを味わわずにいる事となってしまいます。
なので、まずは1回、もっと着たければ2回の取り換えをしながら着て頂ければ、それぞれの生地の最も良い風合いを引き出してお召しいただけると思います。

中には、クリーニング屋さんが近所の安いチェーン店しかないので、どんなに言っても縮められてしまうので、通常の倍くらいのペースで縮んではやや大きいサイズに取り替え、を繰り返している方もいます。
縮むからと言って、ネックサイズが明らかに大きいのはみっともないし、クリーニング屋の選択肢もないし、という事での対応としても、お直しが活用されています。
衿やカフスの取り換えに際して、いくつか問題点もあります。
1度くらいは問題がないのですが、複数回の取り換えを、同じ場所で行うと、ボディー側の縫い目の部分が弱くなるので、カフスならば少し袖側を深く縫い込んであげる必要が出てきます。
結果として、袖が3〜5ミリ程短くなるなど、寸法的な変化が必要な場合があります。
他にも、シャツと同じ生地がある場合は、同じ生地での取り替えが出来ますが、既に同じ生地が無くなっている際には、似たような別の生地や、同じランク、同じ織のタイプの白生地を使っての直しとなるため、だんだんとご自身のラインナップにクレリックが多くなっていきます。
多いパターンとしましては、初めは共布で衿とカフスを作り、傷みが出たらクレリックに取り換え修理、それも傷んだら処分といった感じの、1回修理が多いです。
修理が出来るからといって、実際に3回4回と取り替えをする方は、そんなに多くありません。
なぜなら、皆さん大抵は何だかんだで新しいシャツも作りたくなってしまうので、直しばっかりだと新しいシャツを作る機会が無くなってしまいますから。
そういう意味でも、4回とまでは言わないまでも、シャツの風合いのためにも、1度は取り替え修理をしてみて頂きたいと思っております。
取り替えの際には、首周りの大きさや、衿の形など、今までついていたものとは違ったものが付けられますので、まさに生まれ変わった1枚になります。(首回りやカフスの丈など、寸法の調整には限度があります。特に首は、寸法を小さくする方にはあまり幅がありません。)

お直しをやっている店は、恐らくどこでもシャツの寿命は2年ではない、と考えているはずです。
ただ、寿命一杯まで着なければならないなんてルールはありませんので、傷んでしまってもまだ着たい1着があった際には、お直しを考えてみて頂ければ、と思います。

折角なので、次回は、なるべくシャツを長持ちさせるクリーニング屋さんへの注文方法を、何故そうするのかも含めて書こうと思います。

番外編 シャツの寿命について

最近、新規のお客様とお話をしていて、ワイシャツの寿命についてが話題となりました。
新規のお客様以外でも、たまたまそんな話をする機会が続きましたので、ここで改めて簡単にご案内をしておこうかと思います。

結論から言ってしまえば、シャツの寿命は、様々な要因で決まるため、短ければ1年も経たずにダメになりますし、長ければ40年経ってもまだ着ている、なんて事もあります。
つまり、人それぞれ、シャツそれぞれです。
なので、今回はシャツの寿命を左右する要因を挙げ、気に入ったシャツをどうすれば長く着られるかを御案内し、ご自分のシャツの寿命の参考にしていただければ、と思います。

クリーニング屋さんなどで、シャツをダメにされてしまったりした際に、聞いたことがある方もおられるかもしれませんが、ワイシャツの法定耐用年数は2年となっており、それ以上の期間が経っていれば、(あくまで法律上は、)ワイシャツとしての天寿を全うした、と言えなくもありません。
しかし、多くの方にとって、ワイシャツを処分するタイミングは、以下の3つのどれかがほとんどだと思います。
1、衿・カフスの汚れの沈着、擦り切れ
2、衿が縮んで苦しい
3、身頃や袖に、落ちない汚れが付いた、穴や裂けが出来た
3は、イレギュラーで発生するケースがほとんどだと思いますので、今回は触れませんが、1と2に関しては、日々のワイシャツケアによって、シャツの寿命にかなりの差を作ることになります。
なぜ、1や2のようなことが起こるのか、原因から考えて、対策をすれば、シャツの寿命は延びますので、ご参考にしていただければと思います。

まず、衿やカフスの汚れの沈着、擦り切れは、皮膚と各パーツとの摩擦によって、だんだんと酷くなっていきます。
衿やカフスに汚れが付き易いのは、体の最も多く可動する部分とシャツの末端が接する部分であり、更に衿とカフスには芯地が入っているので、端が他の部分よりも硬くなっているため、より強く擦れてしまうのです。
強く、長く擦れているという事は、それだけ生地には多くの汚れが擦り付けられており、単純に皮膚との摩擦で生地がダメージを受けるだけでなく、汗や皮脂による繊維への化学反応によるダメージ、加えてランドリーでの、もっとも汚れている場所への洗剤やブラシによる汚れ落としによって受けるダメージと、特に衿周りは、カフスよりも重点的に様々なダメージを受け続けます。
カフスが同時期にダメになる場合は、ほとんどのケースで腕時計をしている側の擦り切れが原因です。
なので、時計をしていない方のカフスの方が、痛みが遅いことが多いです。
汚れ、擦り切れへの対策としましては、シャツを脱いだら、なるべく早く洗濯をする。
着ているときの事よりも、脱いでからが大切です。
これにより、衿周りに付いた、汗や脂による継続的な繊維へのダメージや、黄ばみなどの変色を落とすための強い溶剤を付けられるダメージなどから衿を守れます。
(汗は、始めは弱酸性ですが、時間が経つとアルカリ性になっていくため、染色に使われている材料によっては、色物シャツの変色の大きな原因となります。特にシルクはタンパク質なので、アルカリに弱いですから、直ぐにランドリーに出してください。) 2度3度と洗濯をせずにシャツを着ると、最初に着た時からランドリーに出すまでの間、衿にはずっとダメージがかかり続けていることになります。
ただ、海外出張などの場合は、ランドリーの質が全く分からないので、敢えて洗わないという事がシャツにとっては良いこともあります。 大抵の場合は、ダメージを受けるとしても、洗いに出してしまうものと思いますが、ハズレのランドリーに当たった場合には、お戻りの際に早めにランドリーし直していただくと良いと思います。
または、出発前にランドリーで衿の内側に厚く糊を掛けてもらっておくと、衿周りの汚れが糊の上に付くので、あとで水洗いすると、糊と共に汚れが落ちやすくなります。
これは、後述の縮みの原因にもなりますので、あまり大っぴらにオススメは出来ませんが、効果的です。

続いて縮みの原因ですが、ほとんどの場合はランドリーの際の機械プレスによる、芯地の縮みによるものと思われます。
元々、一部を除き、生地自体はそんなに大きく伸びも縮みもしませんが(伸縮率3%が基準値となっています)、芯地、特に接着芯は、その特性上、縮めないようにしない限りは縮みます。
接着芯は、芯地と生地を接着剤で張り付ける事で、衿やカフスの表面を常にパリッと美しく見せたり、薄い芯でもある程度の硬さを出せたり、縫製がし易かったりとメリットも沢山あるんですが、一番のデメリットとしては、やはり縮んでしまう事でしょう。
接着芯の接着剤は、高温で溶け、冷めると固まる為、アイロンで熱する度に溶けて固まる、を繰り返します。
その都度、少しずつ周りの繊維を引きこんでいくので、芯地の目詰りを起こし、結果として縮んでいきます。
対策は簡単で、アイロンで熱しているときに、引っ張ってあげる事。
つまり、縮むタイミングで伸ばしてあげるだけです。
ですが、これが意外と出来ません。
ご自宅で洗って、アイロンをかけている方にとっては、何と言う事もない事なんですが、クリーニング屋さんに何も言わずに出していると、やってくれないところが結構あります。
なので、首回りがきつくなりやすい方は、クリーニング屋さんに出す時に、「衿とカフス、縮み注意で」や、「衿とカフスは引っ張ってアイロン」などと一言添えていただくと、かなり違ってくるでしょう。
現在は、昔と比べて、いわゆる町のクリーニング屋さんというものが相当減ってしまったので、チェーン店のクリーニング屋さんを使っている方も多いと思います。
以前のように、直接作業をする人間の顔が見えないからこそ、作業をする人に伝わるように、一言添えてあげるのが、何よりの対策になるものと思います。

ワイシャツを、着たらなるべく早く自宅で洗い、よく伸ばしながらアイロンをかける。
これだけで、洗わずに何度か着て、クリーニング屋さんに何も指定せずに出すのの何倍も長持ちします。

次回は、それでも傷みが出てきてからのお話しをさせて頂こうと思っております。

番外編 アルモの生地について ’15 3月追記

番外編 アルモの生地について ’15 3月追記

以前から、高品質な生地のメーカーとして取り上げていました、スイスの生地メーカー、アルモですが、昨今のスイスフランの急騰の影響で、しばらくは入荷が出来ない状況となりました。(スイスフランが以前と同じ位まで落ちても、直ぐに再開は難しいと思われます。)
そんな中でも特に影響が出るのが、170番手の白ブロードと、夏物のボイルです。
今年の夏は、去年の内に仕入をしてある生地が無くなり次第、アルモのボイルに関しては品切れとなります。
白のブロードも、今は反物で在庫がありますが、この反物が無くなり次第品切れとなります。
アルモの200番手、170番手、120番手全般に同じことが言えますので、アルモが好きな方、特にアルモの海島綿120番手が好きな方は、在庫のあるうちにご連絡、ご注文をお願いいたします。

2015年3月 追記
スイスフランの暴騰は落ち着きましたが、生地の問屋さんが負ったダメージは決して小さくなく、全く入荷がないという事にはなりませんでしたが、やはりしばらくはアルモの生地の品切、品薄、高騰の状況が続くそうです。
白170番手に関しては、当社の在庫分でしばらくは対応出来ますが、ボイルは種類が少なく、かなりの値上げとなるため、去年までの持ち越し分と、早めに押さえておいた分にて対応となるため、あまり奥行には期待できません。(アルモ以外のボイルや、カラミ織にて対応していきますので、夏物がないという事にはなりません。)
海島綿等は全く無理のようです。
ですが、当初の最悪の想定よりは大分良い推移でもあり、今後一切アルモが無くなるような事にはならなそうですので、一安心です。
来年頃にはもとに近い内容に戻る事を期待していますが、今現在はまだ何ともいえない状況となっております。

番外編 ギンガムチェックシャツ

番外編 ギンガムチェックシャツ

こちらは、トーマスメイソンの黒いギンガムチェックで作ったシャツです。
ネクタイ用にワイドスプレッドで作りました。
黒という強い色で、ギンガムチェックという柄なので、普段はカジュアル用に使われがちですが、ネクタイ用にするのもよく合います。
シャツの色、柄が強いので、シャツをメインにコーディネイトをするスタイルになります。
ビジネス用の組み合わせとしては、ミディアムグレーの無地のスーツに、写真のような赤系のタイ(明るさはスーツの明るさに合わせるといいと思います)で、革物は黒、辺りで良いと思います。
ライトグレーのスーツで、より一層シャツを際立たせようというのであれば、タイの色も明るめにして、Vゾーンのインパクトを増しつつ、革物を茶系にしておけば、全体を少し軽い印象に出来ると思います。
シャツ、スーツ、タイ、靴など、全てを一度に着る事になりますので、その姿は相手には、全てをまとめて1つのファッションとして見られます。
個別のアイテムとして決めるのではなく、トータルバランスで選ぶ事が重要です。
そのトータルの中で、今日の主役を定めて、組み上げていくのが良いでしょう。
今回の写真で言えば、ビジネス用のファッションとして、黒の大きめのギンガムは、脇役に収まりきるタイプではないので、抑え目な組み合わせで脇を固めて、主役として力を発揮してもらいましょう。

シンプルなスーツの引き立て役として、あえてシャツやタイを目立ち役にも出来ますし、まずは今日の主役、ポイントを決めてみてはいかがでしょうか?