シャツの世界

お知らせ

最近、ホームページ効果か、遠方のお客様からのお問い合わせ、ご注文が増えてきました。
中でも多いのが、『初めてで、しかも、お店まで行けないんだけど、第○○回の生地でシャツが欲しい。』といった内容です。
そういった場合には、最も体に合っている(気に入っている)サイズのシャツと、気に入っている形のシャツを送っていただくと、コピーオーダーにて対応が出来ます。
その際、『首を5ミリ大きく』や『衿をボタンダウンに』、『もう少し身頃を細く』といった調整も付けていただければ、店舗に来ずして、ある程度しっかりしたシャツを作る事が出来ます。
プレゼント用に、この方法でシャツを作って贈る、なんて事も可能です。
なかなか店舗に来れずにいる方でも、シャツを作ってみたいと思っていただけましたら、是非一度ご連絡下さい。

第175回 イタリア製 カルロリーバ・リシオ

写真

気温の高い日が増え、夏の訪れを実感する時期となりました。
数ある今期の新入荷の中で一番初めにご紹介をしたいのは、夏のカジュアルを盛り上げてくれるであろうカルロリーバ・リシオです。


ご覧いただきました通り、今回の新柄は『夏』を強く印象付けるようなものとなっております。

4色どれも、まるで真夏の太陽のような鮮やかな色出しに、イタリアンなセンスを感じます。

比較的ひと柄が小さめですので、日本人の体型との相性も良好です。

夏にシャツが注目されるのは、なにもクールビズだけではありません。

こういった発色の良い生地を、衿の大きなボタンダウンやイタリアンカラーなどといったイタリアンテイストなデザインと併せて、見るものに夏の太陽や海を想像させるような楽しいシャツを仕立ててみるのは如何でしょう?

第174回 トーマス・メイソン ジャーニー

写真 トーマスメイソンはもともとイギリスのブランドでしたが、イタリアのアルビニ社傘下になった現在でも、英国らしいデザインの生地を作り続けるブランドです。

そんなトーマスの新シリーズが、トーマスメイソン『ジャーニー』
「旅先でトランクから取り出してもシワになりにくい」「長い旅のお供にしてもらいたい」をコンセプトに、耐シワ加工の施された生地になります。



耐シワ加工と聞くと、形態安定のようにアイロン掛けが必要ない生地を思い浮かべる方も多いかと思いますが、「耐シワ」の文字通り、シワを抑える程度の特性ですので、アイロン掛けは比較的安易で済むようになりますが、全く必要無しとはいきません。

しかし、この形態安定や防シワなどの加工は、低い番手の生地やポリエステル混紡などの生地で多く施されており、ジャーニーが展開している100番手や120番手以上のような、綿100%且つ、高級番手という生地ではとても稀なことです。

当然、高級番手としての風合いを落とすことなく耐シワ加工が施されており、同じトーマスメイソンのジャーニーと無加工の生地を同番手同士で触り比べても、簡単に風合いの違いを指摘できる方はそうは居ないと思います。

ジャーニーと無加工の生地を比べた時に唯一分かる違いは、生地をつまんだ際の弾力がジャーニーの方が少し強い点です。

弾力が強いことにより生地に程よい張りが生まれますので、深いシワが入る以前に生地が張りを保とうとして、ある程度まで耐えてくれるので、丸みのある浅いシワでとどめてくれます。
ジャーニーはこの特性を指してシワを抑えると表しているのです。

弾力が強いと言っても決して度を越えたものではなく、他の生地と比べ「ややモチッとした触感が有るな」「しっかりしてるな」と感じる程度ですので、着心地を阻害したりはせずに、生地の個性と十分に言えるレベルです。



こんな特性を持ったジャーニーの活躍の機会は、やはりコンセプトの通りに旅や出張などの機会に最も発揮されるのではないでしょうか。

旅や出張が短期で荷物を少なくしたい場合に、シワになりにくいジャーニーであれば、激しく汚れなければ二日や三日は同じシャツを着て過ごすことも可能ですので、荷物を減らす事も出来ます。
長期滞在の場合でも、一枚を使う回数を増やすことで、勝手の分からない宿泊先のランドリーへ出して、せっかくオーダーメイドしたシャツが不本意な仕上がりになるリスクを避け、帰宅後に自宅で洗濯したり、馴染みのクリーニング屋さんにお願いすることが出来るようになります。

同じシャツを着て過ごす間も、少しの工夫でジャーニーの特性を生かすことが出来ます。
ルームウエア―に着替えた夜の間は、シャツをハンガーにかけて吊るしておくだけでもシワを和らげる事ができますし、ジャケットやスーツでなさる方もいらっしゃいますが、使った後の浴室に吊るして、適度な湿気を与え休ませる事で、シワを穏やかにする効果を更に上げることが出来ます。



今回のトーマスメイソン・ジャーニーは今まで紹介してきた生地とは、少しアプローチの異なる特性を持った生地です。
柄や色などのデザインや、肌触りなどの質感、こういった点を研ぎ澄ますのみではなく、御使いになる方へ利便性を高め、今まで以上の快適性を与えてくれる可能性を持った生地です。
アイロンがけが少し楽になったり、汗をかいてもくたびれ難かったり、普段のシャツとの生活で、当たり前だった点がガラッと変わるかもしれません。
出張や旅を例に挙げさせて頂きましたが、その便利さを利用してより自分にとって快適なシャツ生活を送って頂ければと思い、ご紹介させて頂きました。

これからも、定番的にお店に並べようと考えている生地ですので、ご来店の際に一度、ご覧になってみて下さい。

第173回 レジウノ プリント

写真 今年も春物の入荷となりました。
冬物から春物へと棚に並んだ生地が入れ替わりますと、いよいよ季節も春へ向かっているという気になります。
今年も彩り豊かなプリント生地が揃ってきました。

今回ご案内致しますのは、そんな中からイタリアの生地メーカー『レジウノ』社の明るい色合いのプリント地となります。
ここ数年、紳士のシャツでもプリントが多く使われるようになり、抵抗感はかなり薄れて来たものと思いますが、とはいえ生地の状態で見るとなかなか踏ん切りがつきにくいようです。
なので、今回はシャツの形にしてのご紹介となりました。

生地で見るよりも、形になっている方が大人しく感じるのではないかと思います。
デニムで合わせても、白で合わせても良い、案外使い勝手の良いシャツだと思いますので、春先の上着なしでのお出かけ用に1着いかがでしょうか。


イタリア、レジウノ製プリント地
綿100%

お仕立て上がり¥32000(+税)

番外編 ラウンドカラー 補足

写真 前回のラウンドカラー、どこが2段階なのか分からない、という方もいるかと思い、比較が出来る写真を用意してみました。
左が2段階ラウンドで、右が剣先側が丸まっていない、前端のラインのみがラウンドになっているタイプです。
通常のラウンドカラーは、前端から剣先、衿の外周ラインへ向かって均一なラウンドで作られています。
右の衿を見るとお分かりいただけるかと思いますが、衿の剣先が角張っているので、柔らかい印象にはなっていません。
この部分は、ジャケットを着ると隠れる部分なので、今回は思い切って左の写真のように丸くしてみた訳なんですが、結果は成功だったと思います。

番外編 2段階カーブのラウンドカラー

写真 久しぶりの衿型番外編です。
今回は、変形ラウンドカラーとなります。
衿の前中心にある羽部分のスタート地点から、大きなラウンドでスタートし、剣先の部分でコンパクトなラウンドとなっていきます。
正面からの、前中心付近では衿のヒラキが狭く見えるんですが、剣先の位置はかなり広いヒラキの位置となっています。
前部分がカーブしているので、正面からの見た目は割とカチッとしているように見えます。
ジャケットを着てネクタイをしていると、かなり真面目な印象のシャツですが、ネクタイを外してジャケットを脱ぐと、一気に柔らかい印象のラウンドカラーシャツに見えるようになります。
クールビズやウォームビズの影響で、ジャケットやネクタイをしない機会が増えました。
それ用のシャツもたくさん出ましたが、どうしても似たような形が多くなってしまっています。
服装の選択肢が増えた結果、何故か皆、似た格好になっているように感じますので、今までとちょっと違うスタイルの衿、いかがでしょうか。
かわいらしくなり過ぎないのがポイントです。

第172回 テスタ オックスフォード

写真 久しぶりに、オックスフォードの新しい物が入ってきました。
メーカーは、イタリーのテスタ社です。
テスタといえば、高級番手からプリントのカジュアルまで、様々なシャツ生地を作っていますが、私の印象としましては、「鉄板」です。
というのも、いろんな色の生地、柄の生地を作っているテスタですが、そのラインナップを見てみると、手堅い色柄が非常に多いのです。
確かに、オレンジのストライプ、といった生地もありましたが、それはオレンジの「細い」、「等間隔の」ストライプであり、色の割に柄が保守的であったり、カジュアル用のブルーのプリント生地ですと、白地に「極淡い」ブルーの、「小さな四角柄の」プリント、だったりします。
個人的には、奇抜さや目新しさは感じないものの、素直で高品質な生地が多いため、とても好きな生地メーカーです。

今回のオックスフォードも、淡いブルー、やや淡いブルー、淡い紫、やや濃いブルー、と、冒険心こそ無い様に思いますが、日々使える1枚になると思います。
風合いは、やや柔らかめのロイヤルオックスフォードとなります。

第171回 ゲッツナー チェック

写真 今回ご紹介しますのは、オーストリアのゲッツナー社製、縁有のギンガム風チェックになります。
なぜ「風」かと言いますと、写真ではちょっと分かりにくいですが、色の縦縞の両サイドに、1本縦に濃い色の縁が付けてあるからです。
通常のギンガムチェックにはないこの線が、一体どのような効果があるかと言いますと、白の部分と色の部分の境界線が濃い色で入ることで、その境をより際立たせています。
結果として、くっきりハッキリとした、鮮明な柄になります。

この生地は、もともとチェックの柄が大きめなので、輪郭を際立たせることで、より迫力のある柄となっております。

第170回 DJA 綿麻

写真 リネンは見た目からも夏らしさを感じさせてくれる素材で、夏のワイシャツの定番の一つではありますが、肌が弱かったりすると、リネンのチクチク感で肌が痒くなったり、単純に硬さが気になってダメだ、という方も少なくありません。
そういう方向けに、コットンのスラブという、麻っぽい見た目の織物もあるのですが、スラブは基本的に見た目以外は涼しくありません。
見ている方は素材感から涼しげに感じられると思いますが、着ている方は通年物の、しかも比較的肉厚な生地のシャツを着ていることになりますので、汗の吸いこそ良いものの、暑くて大変です。
そんな中、麻のルックスを残しつつ、綿の柔らかさがあるのが、綿麻という混紡の生地になるんですが、その綿麻の中でも特にクオリティの高いものが、こちらのアンダーソンの綿麻です。
元々、アンダーソンのリネン自体が、しなやかであるため、刺々しさはなく、麻55%・綿45パーセントという麻が多めの混率であっても滑らかで、それでいて麻特有の触れた時のヒンヤリ感もあります。
麻100%のものに比べると、やはり通気と見た目の面では劣りますが、その分麻100%の生地のような深いシワにはなりにくく、オールシーズンの生地よりは大分涼しさがあります。
元々、そんなにたくさん入ってくる生地ではありませんので、ご興味のある方はお早目のご連絡をお願い致します。
シーズン物の為、あまり長い間は取り置いておけませんが、近々ご来店になる予定がおありであれば、除けておくようにご連絡をいただければ、そのようにしておきます。

第169回 アルモボイル

写真 夏用の生地といえばコレ、と言えるほど、夏生地の代表格であるアルモのボイルですが、一番涼しいこのタイプは、ここ最近あまり新しい柄物が入ってきていません。
スイスフランの暴騰から、しばらく時間が経ちましたが、生地屋さんが被ったダメージは未だに残っていて、以前のスイスフランが安定していた頃に比べると、仕入も慎重になったままです。
そんな中で、新規の柄物として入荷したのが、こちらのチェックになります。 ちょっとカジュアル寄りに見える生地ですが、スーパークールビズ時代のワイシャツとしては、このパステル調の色合いと相まって、ジャケットスタイル用のシャツとして、使い勝手が大変良さそうに思います。
ゴールデンウィークが終われば、夏はすぐに訪れるでしょうから、夏物の御用命はお早めにお願いします。
今年は、暑くなりそうだ、との事なので、ワイシャツを着なければならない方にとっては、いつもより夏生地のシャツがより助けになるはずです。
体調管理の為にも、今年の夏は着るものから対策をしてみるのも良いかもしれませんね。